ヒアルロン酸注射
関節内にヒアルロン酸製剤を注入する保存療法。粘弾性補充により関節の潤滑と疼痛緩和を狙う。
ポイント
ヒアルロン酸注射とは
ヒアルロン酸注射(ひあるろんさんちゅうしゃ、英: viscosupplementation)は、関節内にヒアルロン酸製剤を注入する保存療法。変形性膝関節症で減少した滑液中のヒアルロン酸を補充し、関節の潤滑性と粘弾性を改善することで疼痛緩和と機能改善を狙う。日本の保険診療では週1回×5回が標準コースで、その後は月1回程度の維持注射が行われる。
ヒアルロン酸注射の効果と限界
ヒアルロン酸は関節液の主成分の一つで、変形性膝関節症ではその分子量と濃度が低下する。製剤は分子量によって低分子(80〜120万Da)と高分子(200万Da以上)に分かれ、高分子製剤の方が長期効果が期待される。注射は関節内潤滑改善に加えて、滑膜の炎症抑制と軟骨保護作用も報告されている。
効果は注射後数週〜数ヶ月持続するが、メタアナリシスでは効果サイズは小〜中等度とされ、プラセボとの差は限定的との指摘もある。Grade I〜IIIの軽〜中等度OAで効果が期待でき、Grade IVの末期OAでは効果が乏しい。副作用として注射部位の腫脹・疼痛・関節液の一過性増加があるが、感染症リスクは1万件に1件程度と低い。長期使用での安全性は確立されている。
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執筆者
ひざ日和編集部
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