滑液
膝関節の関節包内に存在する潤滑液。ヒアルロン酸を含み、軟骨への栄養供給と摩擦低減を担う。
ポイント
滑液とは
滑液(かつえき、英: synovial fluid、関節液とも)は、膝関節の関節包内側にある滑膜から分泌される粘性のある液体。ヒアルロン酸とルブリシンを含み、軟骨への栄養供給と関節面の摩擦低減を担う。健康な膝の関節腔には約1〜2mLしか存在しないが、炎症や損傷があると分泌が増えて関節が腫れ、いわゆる「水が溜まった膝」の状態となる。
滑液の役割と臨床的意義
滑液は黄色透明で卵白のような粘性を持ち、その粘性は主にヒアルロン酸の濃度に依存する。膝に荷重がかかると軟骨の表層から押し出された水分と滑液が混じり合い、軟骨表面を均一に覆う「滲出潤滑」と呼ばれる仕組みで摩擦を最小化する。摩擦係数は氷上の氷と同等かそれ以下とされ、人工関節材料を上回る滑らかさである。
変形性膝関節症ではヒアルロン酸の分子量と濃度が低下するため、関節注射でヒアルロン酸を補充する保存療法が広く行われる。また関節液検査は化膿性関節炎・痛風・偽痛風・関節リウマチなどの鑑別に有用で、白血球数や結晶の有無を顕微鏡で確認する。膝の腫脹がある場合は、まず原因の鑑別が治療方針を決める鍵となる。
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執筆者
ひざ日和編集部
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