低線量放射線療法
変形性膝関節症や腱症に対し低線量の放射線を照射する治療。欧州で確立した治療法で日本でも研究が進む。
ポイント
低線量放射線療法とは
低線量放射線療法(ていせんりょうほうしゃせんりょうほう、英: low-dose radiation therapy、LDRT)は、変形性膝関節症や腱付着部炎などの非癌疾患に対して低線量(1回0.5〜1.0 Gy・総線量3〜6 Gy)の放射線を照射する治療。欧州(特にドイツ)では古くから保険診療で行われ、近年は日本でもエビデンス蓄積と臨床応用が進んでいる。抗炎症作用が主な作用機序とされる。
LDRTの作用機序とエビデンス
低線量放射線は炎症性サイトカインを抑制し、活性酸素種の制御や免疫細胞の活性調整を介して抗炎症作用を発揮すると考えられている。癌治療に使う高線量放射線とは異なる仕組みで、単回0.5〜1 Gyを週2〜3回・計6回程度の照射が標準的なプロトコルとなる。ドイツでは年間3万件以上の症例が実施されており、安全性と有効性の長期データが蓄積されている。
2025年のASTRO学会では韓国発のRCTで変形性膝関節症の疼痛改善効果が報告され、注目を集めた。日本では一部の施設で臨床応用が始まったが、保険適用外で自由診療となる。被曝量は癌のリスクを高めるレベルではないとされるが、若年層への適応には慎重で、原則として60歳以上の保存療法不応例が対象となる。長期的な発癌リスク評価とエビデンスの追加が今後の課題である。
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執筆者
ひざ日和編集部
編集部
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