運動療法
膝関節周囲の筋力強化とストレッチを通じて症状を改善する保存療法。変形性膝関節症の第一選択治療。
ポイント
運動療法とは
運動療法(うんどうりょうほう、英: exercise therapy)は、膝関節周囲の筋力強化・ストレッチ・有酸素運動を通じて症状を改善する保存療法。変形性膝関節症やランニング膝などの慢性膝痛で第一選択の治療として位置付けられ、複数の国際ガイドラインが薬物療法より優先する戦略を推奨している。大腿四頭筋強化・水中ウォーキング・自転車・太極拳などが代表的なメニューである。
運動療法のエビデンスと実践
運動療法のエビデンスは確立しており、Cochraneレビューでは変形性膝関節症の痛み・機能改善に対し中等度の効果(効果サイズ0.4〜0.5)が示されている。これは薬物療法と同等またはそれ以上の効果である。プログラムは大腿四頭筋強化(ハーフスクワット・SLR・クアドリセプスセッティング)、ハムストリングと殿筋の強化、有酸素運動の組み合わせが基本となる。
初期は運動指導士や理学療法士による個別指導が推奨され、3〜6ヶ月で効果が現れ始める。週3回・1回30〜60分のペースを8〜12週間継続するのが標準。痛みが強い時期は無理をせず、関節に負担の少ない水中運動や自転車から始めて徐々に強度を上げる。継続が最大のハードルとなるため、生活に組み込みやすい運動を選ぶことと、グループ運動の社会的サポートが効果を高めるとされる。
関連項目・記事
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執筆者
ひざ日和編集部
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