MRI
磁気共鳴画像法。膝の軟部組織(半月板・靭帯・軟骨・腱)を被曝なしで詳細に描出できる代表的な画像検査。
MRIとは
MRI(えむあーるあい、英: Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴画像)とは、強力な磁気と電波を利用して体の断層画像を描出する画像診断法です。膝関節領域では半月板・前十字靭帯・後十字靭帯・側副靭帯・軟骨・骨髄などの軟部組織評価で第一選択となります。X線・CTでは描出できない軟部組織病変を高精細に観察でき、放射線被曝もないため膝関節疾患の精密診断に不可欠な検査です。
目次
MRIの定義と医学的位置づけ
MRI(Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴画像)は、1973年にPaul Lauterburが開発し2003年にノーベル医学賞の対象となった画像診断法です。強力な磁場(1.5〜3.0テスラが標準、研究用は7テスラ以上も)と電波を利用して体内の水素原子核の挙動を画像化します。X線・CTのような放射線被曝がなく、軟部組織の描出能力が極めて高い点が大きな特徴で、膝関節領域では軟部組織病変の評価における第一選択検査として確立されています。
膝MRIでは、半月板・前十字靭帯(ACL)・後十字靭帯(PCL)・側副靭帯・軟骨・骨髄・滑膜・筋肉・腱など、X線では描出できない多くの構造を高精細に観察できます。撮影シーケンスにはT1強調像(解剖学的構造の評価)、T2強調像(病変の検出に優れる、水分の多い組織が高信号)、プロトン密度強調像、脂肪抑制像、3D-FSE像など複数があり、目的に応じて使い分けます。膝関節撮影では複数のシーケンスを組み合わせて多角的に病態を評価します。
X線・CTと比較して、MRIは軟部組織評価で圧倒的に優れる一方、撮影時間が長い(30〜60分)、費用が高い(保険適用で1万円程度)、強磁性体(ペースメーカー、人工内耳、一部の脳動脈瘤クリップ等)がある患者には禁忌、閉所恐怖症の患者には負担、というデメリットもあります。診断精度の高さから、半月板損傷・靭帯損傷・軟骨損傷・骨壊死・滑膜炎・腫瘍など、膝関節疾患の精密診断において不可欠な検査として位置づけられています。
膝MRIで分かることと適応
膝MRIで評価できる主要病変は次の通りです。第一に半月板損傷で、断裂のタイプ(縦断裂・水平断裂・複合断裂・ラジアル断裂・バケツ柄断裂等)と部位を高精度に診断できます。第二に靭帯損傷で、ACL・PCL・内側側副靭帯(MCL)・外側側副靭帯(LCL)の部分損傷から完全断裂まで詳細に評価可能です。第三に軟骨損傷で、軟骨欠損の深さ・範囲を評価でき、軟骨修復術の術前計画に活用されます。第四に骨髄浮腫・骨壊死で、骨内の水分増加を反映する所見として早期発見できます。第五に滑膜炎・関節水腫・腫瘍などで、滑膜の肥厚・関節液貯留・骨腫瘍も評価可能です。
膝MRIの主な適応は次の通りです。第一に外傷後の精密検査で、ACL損傷・PCL損傷・半月板損傷・骨挫傷の評価に必須です。第二にスポーツ外傷の評価で、若年スポーツ選手の膝痛精査で第一選択となります。第三に変形性膝関節症の精密評価で、軟骨損傷の程度・骨髄病変・半月板変性の評価に有用です。第四に骨壊死・骨腫瘍の評価で、X線で異常を疑う場合のさらなる精査に活用されます。第五に術前評価で、関節鏡視下手術や軟骨修復術の計画立案に必須です。
MRIの注意点として、強磁性体を体内に有する患者は禁忌です。具体的には心臓ペースメーカー、植込み型除細動器、人工内耳、一部の脳動脈瘤クリップ、刺青(一部のインクに鉄が含まれる場合)などです。妊娠初期の女性は影響不明のため原則禁忌です。閉所恐怖症の患者では撮影が困難な場合があり、オープンMRIや軽い鎮静薬使用が検討されます。撮影時間が長く(30〜60分)大きな機械音がするため、患者には十分な事前説明が重要です。検査前に金属類(時計、アクセサリー等)の取り外しが必須です。
膝MRIで分かること
膝MRIではT1強調像・T2強調像・脂肪抑制画像(PD強調・STIR)を組み合わせて評価する。半月板損傷では水平断・矢状断で線状の高信号を判定し、ACL断裂では靭帯の連続性低下や付着部の浮腫を確認する。軟骨損傷はT2マップやdGEMRICといった専用シーケンスで定量評価が可能で、変形性膝関節症の早期診断や経過観察に応用されている。
骨髄浮腫はSTIR像で高信号として現れ、変形性膝関節症の進行や微小骨折・骨壊死の指標となる。MRIは検査時間が30〜45分と長く、ペースメーカーや磁性体植込み患者では撮影できないという制約があるが、膝関節の精密診断では他に代替できないツールである。撮影費用は3割負担で約7,000〜10,000円程度。
MRIによくある質問
QMRIでわかる病気は何ですか?
半月板損傷・前十字靭帯損傷・後十字靭帯損傷・側副靭帯損傷・軟骨損傷・骨髄浮腫・骨壊死・滑膜炎・腫瘍など、膝関節の軟部組織病変の多くを高精度に診断できます。X線・CTでは描出できない軟部組織病変の評価において第一選択となる検査です。
QMRI検査の費用はいくらですか?
保険適用の場合、3割負担で5,000〜10,000円程度です。施設により撮影内容が異なり、複雑な撮影では費用が増加することもあります。MRI造影検査では追加で2,000〜3,000円程度かかります。撮影時間が長い分、X線(約500円)やCT(約3,000円)より費用は高くなりますが、診断的価値も高いです。
QMRI検査時間はどのくらいですか?
膝MRIの撮影時間は標準的に30〜45分程度で、複雑な撮影や造影検査では60分以上かかることもあります。撮影中は動かないことが重要で、機械音が大きいため耳栓やヘッドホンが提供されます。撮影前後の準備を含めて来院から終了まで1〜2時間程度を見込みます。
Q金属が体内にある人は撮影できますか?
心臓ペースメーカー・植込み型除細動器・人工内耳・一部の脳動脈瘤クリップなど強磁性体は原則禁忌です。一方、人工関節・骨折治療用プレート・歯科インプラントの多くは非磁性体素材(チタン等)で撮影可能です。検査前に問診で詳細確認が行われ、医師の判断で実施可否が決定されます。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]MRI of the knee: meniscus and cartilage- PubMed (Magnetic Resonance Imaging Clinics)
膝MRIの読影と臨床応用に関する標準的アプローチを示した総説論文
関連項目・記事
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執筆者
ひざ日和編集部
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