前方引き出しテスト
前十字靭帯損傷を評価する徒手検査。膝を90度屈曲し、脛骨を前方に引き出して靭帯の弛緩を確認する。
ポイント
前方引き出しテストとは
前方引き出しテスト(ぜんぽうひきだしてすと、英: anterior drawer test)は、前十字靭帯(ACL)損傷を評価する古典的な徒手検査。患者を仰臥位として膝を90度屈曲、足部を検者が固定し、両手で脛骨近位を前方に引き出して脛骨の前方移動量を評価する。Lachmanテストより感度は劣るが、慢性ACL損傷の評価に有用とされる。
前方引き出しテストの解釈
急性期のACL損傷では患者の疼痛と筋緊張で偽陰性となることが多く、感度は50〜60%とされる。一方、慢性期のACL機能不全では筋緊張が低下しているため感度は上昇する。本テスト陽性は健常側との比較で5mm以上の前方移動が目安だが、検者の手技や患者の体格で結果がばらつくため、Lachmanテスト・ピボットシフトテストと組み合わせた総合評価が重要となる。
後方引き出しテストとの混同を避けるため、検査前に脛骨が後方にずれている(脛骨後方落ち込み)場合がないかを確認する。後十字靭帯(PCL)損傷で脛骨が後方に落ち込んだ状態を「正常位」と誤認すると、相対的に前方への移動が大きく見えて偽陽性となる。両足の脛骨結節の位置を比較することで簡単に判別できる。
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執筆者
ひざ日和編集部
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